○牧一心
新しい風の牧一心です。このたび初めての一般質問の機会を得られたことを光栄に思います。未熟な点もあるかと思いますがお付き合いのほど、よろしくお願い致します。
この4年間の任期で西尾市に住む方々が「西尾市議会、良い仕事をしているじゃないか!」と納得してもらえるように、精一杯勤めて参りますので、よろしくお願い致します。では質問に入らせて頂きます。
【議題1 隠れた地域資源の有効活用について】
昨年から続くコロナ収束の気配はいまだ見えません。外食産業と観光業が止まったことによる影響は大きく、生産者もサービス業従事者も不安が膨らむ一方です。交流共創部から頂いた観光客数の調査では2019年は348万人、2020年は273万人に減少しています。
人数で言えば二割そこそこの減少ですが、売上の実態は業態によって大きく差があります。観光業で言えばまず旅館ですが、売上構成では宴会が大きく占めます。その結果先年は前年対比で7割減ということを吉良の協会加盟旅館のおおよその平均値を教えてもらいました。
これはGOTOキャンペーンがあった昨年で7割減なので、イベントがほぼ全て中止となって、キャンペーンも行われる予定がない今年はさらに減少幅が大きくなると想定されます。その影響により問屋さんから、1次生産者の方々までを直撃しています。西尾市の中でも南部エリアは特に生産者と観光にまつわる生業の方々が多いですから、地域経済の安定にはコロナ禍を凌いでいく計画が必要かと考えます。
そこで「西尾市には魅力的な地域資源があるにも関わらず、観光PRがうまく機能していないのでは」という観点からお尋ねいたします。地場産業が育っていかなければ町の文化の衰退を招きかねません。電気自動車に押されて製造業の未来も分からない状況です。地場産業の発展が西尾市民にとってのセーフティーネットになるのではないでしょうか。最初の質問といたしまして西尾市の観光戦略として日帰りか宿泊かどちらに戦略的な重心を置いていますか?
●答弁(交流共創部)
西尾市への誘客としては、日帰り、宿泊ともに力を注いでいるところですが、観光戦略といたしましては、地域での経済効果の高い宿泊観光へ重心を置いております。また本市には、抹茶やうなぎなど「食」の観光だけでなく、宿泊エリアが集中する南部エリアにおいても、吉良温泉や三ヶ根山、佐久島など1日では回りきれない観光資源を豊富に備えておりますので、一般社団法人西尾市観光協会や吉良温泉観光組合等と協力し、ナイトクルージング、ワーケーション、朝市など、宿泊しなければ味わえない観光コンテンツを活用した「宿泊する価値のある魅力的なルート」の造成に努めております。
○牧一心
観光経済新聞からの引用になりますが、2020年の観光庁による調査では、日本人の国内旅行消費額は1人あたり宿泊旅行が77,394円に対し日帰り旅行は21,588円との調査結果があります消費額で3倍以上の開きがあります。その地域内での消費額なので宿や食費だけでなく、周辺施設の使用料、買い物、アクティビティーなどの総額となります。つまり宿泊者の増加は、地域への経済波及効果も大きくなることが分かります。では次の質問ですが、西尾市を訪れる観光客数で、日帰りと宿泊者の割合はどのようになっていますか?
●答弁(交流共創部)
西尾市観光基本計画を改訂する際に実施しました来訪者アンケート調査では、約8割が日帰り客でありました。現在実施しております観光統計を集計している調査では、カテゴリーに日帰りと宿泊を分けていないため、割合を示すことができませんが、観光地を訪れる車両は県内ナンバーが多く、割合としては、アンケート調査時同様に日帰りの観光客が多いという認識をしております。
○牧一心
近隣からの来訪者も多く含まれていると思いますが、現状としては宿泊旅行では選ばれない町だということが分かります。これをどう捉えるかですが、私はもったいないと捉えています。愛知県民は全国平均で所得第2位です。西尾市にとってマイクロツーリズムの強化は合理的な観光戦略だと思います。次の質問といたしまして、観光客が西尾市に求めるニーズをどう捉えていますか?
●答弁(交流共創部)
観光客が本市に求めるニーズに関しましては、市役所や西尾観光案内所への問合せでは、抹茶やうなぎ、スイーツなどの「食」に関するものが多く、その「食」を求めて、来訪する方が多いと認識しております。また、SNSで拡散されていますコンテンツやテレビ、雑誌などで取り上げられている情報も「食」に関連するものが多く、それに伴い、カフェや飲食店への取材が多くあると感じております。口コミでの情報、SNSやメディア等の動きに注視し、情報収集を行い、市へのニーズの把握を行っていきたいと考えています。
○牧一心
「食」という部分で同意いたします。しかしここにまだ発信力で欠けている部分があると思います。三河には醸造文化という深いコンテンツがあるにも関わらず、観光に結びついているように見えません。数年前に「竜の子街道」というプロジェクトが展開されていますが、三河全体の地場産業の発展につながる取り組みだと思います。しかし認知度が低いままです。数年前に「竜の子街道」というプロジェクトが打ち出されましたが、今後の計画があれば教えてください。
●答弁(交流共創部)
半田市・常滑市・碧南市・西尾市の4市にて、「醸造・和文化」を共通のテーマに平成28年度より「竜の子街道」と称して、広域連携での誘客を図っております。今年度の計画としましては、4市の飲食店や土産店をお得な特典を受けながら回遊するスタンプラリーや神社仏閣めぐりで集められる御朱印のように酒蔵や味噌蔵など、蔵元をイメージする御蔵印を販売する周遊促進事業などを計画しています。このエリアが持つ強みである「醸造・和文化」は、外国人観光客が興味を示す観光スポットであるため、これらのコンテンツを磨きあげ、インバウンド需要を目指してまいります。
今年度の計画としましては、4市の飲食店や土産店をお得な特典を受けながら回遊するスタンプラリーや神社仏閣めぐりで集められる御朱印のように酒蔵や味噌蔵など、蔵元をイメージする御蔵印を販売する周遊促進事業などを計画しています。このエリアが持つ強みである「醸造・和文化」は、外国人観光客が興味を示す観光スポットであるため、これらのコンテンツを磨きあげ、インバウンド需要を目指してまいります。
○牧一心
西尾市発信で良い事業が生まれたと思います。連携自治体の熱量がなければ成長もないと思います。ぜひ良いチームワークを作りあげて頂き、観光でより長い時間を三河で過ごせるような後押しをお願いしたいと思います。次の質問といたしまして、西尾市を訪れる観光客で、特に重要視しているのはどの年代ですか?
●答弁(交流共創部)
幅広い年代の方に西尾市へ訪れていただくための観光振興を実施しているところですが、西尾市観光基本計画改訂時のアンケート調査に置いて、20歳代、30代代の来訪者が全体の4割を占めている旨の結果が出ております。数年前から人気のあるフォトジェニックな「西尾かき氷」や「西尾パフェ」を求めて、若者層を中心に多くの方に来訪していただいております。また、佐久島観光にも若い方が多く訪れていただいていることから、これらの年代をターゲットにした誘客がポイントであると考えています。
一方で、本市は温泉や風光明媚な景観、歴史、美味しい海の幸を始めとする食も楽しめる観光地として、退職後時間に余裕のできた高齢層の年代の方々にもゆっくり滞在していただける地域ですので、そちらの面でも力をいれていく必要があると考えています。
○牧一心
若い世代というところでは、さらに踏みこんで幼・保育園から小学生の子どもをもつ家族層に対して訴えかけられる魅力が南部エリアには豊富に揃っているように見えます。子連れの若い世代にとって「子どもを連れて遊びに行く場所がもっと欲しい」という声をたくさん聞きます。都市型公園にはできない、自然のなかで遊べる場所の整備はいかがでしょうか?県内での差別化を図れます。行政区を超えた離島をめぐるツアーを企画したり、愛知こどもの国を活用したキャンプサイトの充実を県に求めたりするなど、着地型観光商品の検討をしませんか?
●答弁(交流共創部)
西尾市、蒲郡市、田原市、南知多市で組織しておりますGOGO三河湾協議会では、三河湾を中心に広域連携として、佐久島、日間賀島、篠島を巡るツアーを継続して実施しております。また、愛知こどもの国を活用しました着地型観光商品として、現在、一般社団法人西尾市観光協会の主催で、家族での市民モニターを募集して、前島での海の生き物探しや愛知こどもの国でキャンプを行う「東幡豆海山の冒険プログラム」を予定しております。今後も、更なる着地型観光商品の開発について検討してまいります。
○牧一心
海と山の活用、私が提案するまでもなく検討されておられるようで、住民としても期待できる内容だと思います。十分魅力的な内容だと思います。それに加えてもう1ランク上げて、本物の自然を体験できるプログラムはどうでしょうか?漁師さんに船を出してもらったり、農家さんなどと連携して環境教育やSDG’sツアー、ネイチャーツアーは地の利を活かしたものになると思います。都市型公園では体験できない魅力を体験できるような企画は、地域活性化の可能性を広げると思います。例えば、西尾市は企業誘致に力を入れていますが製造業と物流業が占めています。観光産業の企業誘致は考えられませんか?
●答弁(交流共創部)
現在、本市では税収の確保と雇用の安定に重点を置き、企業誘致に取り組んでおり、製造業と物流業の誘致が中心になっている状況にあります。議員おっしゃるとおり、本市の隠れた観光資源は、これからの西尾市の可能性を広げる大変重要なファクターであると認識しておりますので、このような新たな観光資源の掘り起こしも含め、本市の観光資源を市内外に広くPRを行うことで、事業者の投資先として選ばれるようにしていきたいと考えております。
○牧一心
コロナの影響で地方移住が進んでいます。民間事業者の誘致を考えるうえでは好機ですのでぜひアプローチをご検討ください。住宅に限らず保養所などの空き物件も出ていますので資産に変えるチャンスです。幡豆の150ヘクタールの県有地など、町で持っている土地も含めて、今ふるさと納税が盛んなのでガバメントクラウドファンディングの活用も検討の余地があると思います。例えばキャンプサイトの整地費用を集めたりすることは、リスクを取る必要もなく始めることができます。加えて、潜在ニーズの調査も兼ねることができます。地場産業の後継者不足は長期的な損失です。観光業の回復が、地元に若者が残る1つの希望のある道筋だと思います。力を注いで頂けるようお願いをして、次の議題に移らせてもらいます。
【議題2 自覚のない被害者、ヤングケアラーについて】
ヤングケアラーについて厚労省が「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳未満の子ども」と説明しています。同じく厚労省の調べによると現在全国に45000人がヤングケアラーにあたるという調査が今年の4月に出ています。中学生では17人に1人という報告です。
ヤングケアラーが具体的にどんなことをしているのかについて、もっとも多いのが「食事の準備や洗濯などの家事」でその他に「兄妹の保育園送迎」や「祖父母の介護や見送り」といったことが挙げられています。いわゆる普通のお手伝いと分けて考えなければいけないところは、子どもたちが本来得られる学習や友達と過ごす時間が、強制的に奪われてしまっているところです。最初の質問ですが、現在西尾市ではヤングケアラーに対するサポート体制はありますか?
●答弁(子ども部)
一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども、いわゆるヤングケアラーにつきましては、本年4月に厚生労働省と文部科学省による中高生を対象とした初めての実態調査の結果が公表されている状況でございます。現在、西尾市に置いて、ヤングケアラーに対するサポート体制の整備はできておりませんが、今後の現状把握の状況及び国の動向に従い、福祉や教育部局と連携したサポート体制について検討して参ります。
○牧一心
ぜひ検討して進めて頂きたいと思います。『埼玉県ケアラー支援条例』の基本理念にはこうあります。「ヤングケアラーの支援は、ヤングケアラーとしての時期が特に社会において自立的に生きる基礎を培い、人間として基本的な資質を養う時期であることに鑑み、適切な教育の機会を確保し、かつ、心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られるように行わなければならない」。この問題の特徴といたしまして、子どもたちから周囲に相談することがほとんどないために、ヤングケアラーを特定しづらいという点です。若い世代が孤立してしまう状況を変えるために、認知度を高める取り組みを行いませんか?か。
●答弁(教育委員会事務局)
ヤングケアラーについての認知度を高めていくことは、それで苦しむ子どもを早期に発見するために必要であると考えます。各学校において、ヤングケアラーという社会問題について、児童生徒に適切に伝えていくよう、校長会議で指導していきます。
○牧一心
校長先生から担任の先生方にお伝えして頂けるということで、強いメッセージ性を期待できるのでぜひお願いしたいです。ただ心配なのは、担任の先生方も大量の仕事を抱えていると思うので、自ら声を上げてくることのない子どもたちの状況を把握するのは難しいことだと思います。周囲が早期発見を目指すとともに、子どもたちにとって相談しやすい環境作りも必要だと考えられます。
例えば担任の橋渡し役にもなり得るスクールカウンセラーの充実は一つの対策にならないでしょうか。松井議員が本年3月の定例会でスクールカウンセラーについて、コロナ渦での心のケアの必要性から質問があり、答弁ではカウンセラーの派遣日数や時間を増やして対応可能ということでした。何でもかんでもカウンセラーに押しつけるのも無理があると思いますが、重要な役割を果たせるのではないかと思えます。そこで再質問としてお伺いさせてください。スクールカウンセラーの増員について計画があるか教えてください。
●答弁(教育委員会事務局)
スクールカウンセラーにつきましては、現在、県費により配置されている12名とは別に、西尾市として2名を配置しております。今後は、毎年1名ずつの増員を計画しております。
○牧一心
第三者が認知しづらい問題なので、子どもたちにとって相談しやすい場所作りということも必要かと思います。現状把握のための実態調査などは行われていますか。
●答弁(教育委員会事務局)
愛知県は「ヤングケアラー」の実態調査を本年度11月〜12月に、県内全ての公立小中学校・高校で実施し、新たな支援策を検討するとしております。本市の小・中・義務教育学校においては、定期的に実施している生活アンケート及び教育相談において、児童生徒の抱える個別の問題について把握をしていますが、ヤングケアラーという視点にも留意してまいります。
○牧一心
実態調査の結果を踏まえて、ぜひ支援策に活かしていただきたいと思います。難しい部分が、家庭でのネグレクトや不登校などが重なり、結果として子どもたちがヤングケアラーになっている場合も想定されます。兄妹の世話や祖父母の介護もしなければならず、外部との接触が断たれてしまっては、発見もより困難となります。そういった状況下では家庭児童支援課やケアマネジャーといった現場からの情報がより一層重要になってくるようにも思えます。今後、教育と福祉に携わる職員の中でヤングケアラーについての研修などを行う予定はありますか。
●答弁(育委員会事務局)
教育や福祉に携わる職員は、子どもや要介護者、障害をもった方々と接する機会が多く、日々の変化に気づきやすい立場にあります。こうした職員が、ヤングケアラーについて正しい認識を持つことは、問題の早期発見や適切な支援のために大切なことです。ヤングケアラーの問題は、教育委員会や健康福祉部をはじめ様々な部局が関係する問題です。各関係部局に置いてヤングケアラーについての理解を深められるように、研修等を進めてまいります。
○牧一心
NHKの実態調査では「組織の縦割りによる調整の難しさ」という課題が現場の声として取り上げられていました。西尾市でも当然想定されます。関係部局での連携が鍵になってくると思いますので、ぜひ良いチームワークが構築できるような形で取り組んでいただきたいと思います。一点、再質問させてください。各関係部局をどの範囲で想定されていますか?
●答弁(育委員会事務局)
現時点における関係部局としては、児童福祉、保育、家庭児童相談等を担当する子ども部、障害者・高齢者介護等を担当する健康福祉部、多文化共生を担当する市民部、学校教育等を担当する教育委員会を想定しています。
○牧一心
情報が届きづらい外国人家庭の子どもたちへのサポートも重要かと思います。両親共働きの家庭が多く、兄弟の世話をするために不登校になっている子どもたちは日本人家庭と比べても多いという声も聞きます。日本人家庭と同じアプローチでは届かないこともあると思いますので、ぜひ柔軟な対応をお願いします。最後の質問といたしまして、ヤングケアラーをサポートするための法整備を国に要望しませんか?
●答弁(子ども部)
国は、ヤングケアラー対しては、実態を調査し、課題について検討を進め、その結果等を踏まえ、関係機関の連携の下、必要な取組みを推進するとしていますので、法整備の国への要望につきましては、今後の国の動向を注視してまいりたいと考えております。
○牧一心
まだ国の法整備が整っていない状況なので、サポート体制を作り上げていくのも難しい段階だと思います。例えばさいたま市では国に先駆けて独自の調査を行ったそうです。生徒に配った端末を使って34000人を対象に、具体的な支援につなげるために記名式で行ったことをさいたま市教育委員会が発表しています。子どもたちの実態調査を行う上でタブレットの活用は、ヤングケアラーの問題に限らず、事実に迫れる有効な手段だと思います。西尾市でもタブレットの配布が済んでいますので、ぜひ活用法を研究していただくようお願いをして質問を終わりたいと思います。