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活動報告

一般質問21年3月定例会

2022.03.31

○牧一心
新しい風の牧一心です。一般質問最後の出番ということで、後味爽やかに終われるように努めてまいりたいと思います。
議題1「循環型社会の実現に向けて」。
はじめに循環型社会とは、有限である資源を効率的に利用するとともに、循環的な利用を行って、持続可能な形で資源を利用していく社会システムのことをここでは指すことにします。

本市でもゼロカーボンシティが掲げられています。
脱炭素を実現していくための手段として、循環型社会の実現が必要となってくると考えられます。
CO2排出量で農林水産業は4%程度ですが、環境面だけでなく経済面にも大きく影響します。
現在、世界的な穀物価格の値上がりと、輸入資材の値上がりによって、農業における原材料が高騰しています。
これまでのような低価格での仕入れは困難となり、畜産を含めた農業全体でこれまで続けてきた生産方法が危ぶまれています。
この、農業の経営を圧迫する社会情勢の中で、本市ではどんな対応策を考えているのかお尋ねしていきたいと思います。
「みどりの食料システム戦略」が2021年5月に農林水産省によって策定されました。
2050年までに農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現が掲げられています。西尾市ではどのような取組を検討しているか。
また目標はどのようでしょうか。

●答弁(産業部長・加藤英之)
みどりの食料システム戦略では、CO2ゼロエミッション化の取組の1つとして、省エネ型施設園芸設備の導入が掲げられております。
本市では施設園芸農家が多いことから、国や県の動向を注視して、省エネ施設・機械の導入を推進してまいります。
目標につきましては、国、県が打ち出す方針を見ながら、検討してまいります。

○牧一心
みどりの戦略では「農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現すること」を目的に策定されました。
そして愛知県では2020年12月に「食と緑の基本計画2025」では“めざす姿”が掲げられています。
国も県も数字で示しています。本市でも目標値を示す必要があると思いますがいかがお考えでしょうか。

●答弁(産業部長・加藤英之)
本市農業の目標につきましては、第7次西尾総合計画に目標指標として定めております。
現在策定中の第8次計画においても、国や県の目標値を参考にしながら、本市の目指す農業の実態に即した目標指標を設定してまいります。

○牧一心
農水省は2050年までに有機農業における取組面積の割合を100万haと目標を立てています。
日本全農地の25%の面積です。
2030年までの中間目標が63000haで、現在は24000haです。
この8年で、2.6倍の面積まで広げようという計画です。〈質問要旨2〉ですが、現在、西尾市の有機農業における取組面積はどのていどか。
また目標はどのようですか。

●答弁(産業部長・加藤英之)
本市で確認できる有機農業の取組面積は、約0.9haであります。また、目標につきましては、有機農業は、その手法が普及していないことと、流通コストや生産性などを考慮すると積極的な推奨は現時点では考えておりません。
今後、国の示す目標や方針を基準として、本市の農業経営の支障とならない目標を考えてまいります。

○牧一心
国の計画として指標が出ていますので、本市としても何らかの布石を打っていく必要があると思います。
北海道や岐阜では“クリーン農業”の取組が進んでいます。
これまでの有機JASは農家への負担が大きいゆえに浸透していないように思えます。持続型の農業を推進するためにも、地域独自の表示制度を作ることを検討しませんか。

●答弁(産業部長・加藤英之)
議員のご指摘のとおり、有機JAS取得はハードルが高くなっていることから、地域独自の表示制度創設の意義はあると考えますが、それによる優位性が、不明確であるため、現状は考えておりません。

○牧一心
例えば、検証のために、環境負荷軽減に貢献した農作物を販売するコーナーを地域の販売店に作るのは1つの手段だと思います。
農家の収益力を高めるためにも、今後検討して頂けたらと思います。
「令和3年度水田収益力強化ビジョン」に掲げられている、耕畜連携による飼料と畜産堆肥の循環を推進する事業の具体案と目標はどのようでしょうか。

●答弁(産業部長・加藤英之)
水田収益力強化ビジョンに策定されております、耕畜連携の具体的な取組につきましては、市内の水田で生産される飼料用の稲を、市内の畜産農家に供給し、その畜産農家で生産される堆肥をもとの水田で利用するものであります。
これにより資源の循環と地力の増進が図られ、化学肥料を低減した循環型農業の形成に寄与することを目標としています。

○牧一心
堆肥を利用する農家にとって問題は、成分にばらつきがあることだと聞きます。
土壌分析や堆肥の栄養成分をデータ化して、有機堆肥の利用促進には支援が必要だと思います。
輸入肥料の削減にも貢献でき、カーボンニュートラルを目指す施策に合致します。いかがでしょうか。

●答弁(産業部長・加藤英之)
堆肥利用の推進につきましては、耕畜連携とは別に、環境保全型農業推進事業による地力推進事業として、市内畜産農家で生産された堆肥を利用した耕種農家に対し、堆肥代金の補助を実施しております。
希望する畜産農家には、年に1度、堆肥の成分分析を実施する等の他、耕種農家へ、必要に応じて、新たな施策の情報提供を行ってまいります。

○牧一心
いまだ多くの農家さんにとっては有機肥料が馴染みのないもので、広く利用されているとは言えないと思います。
せっかく有機堆肥を作っても利用されずに廃棄されてしまうことも聞きます。
有機肥料が浸透していくような仕組み、そして実行スキームの部分を行政サイドで整えてもらえるといいのではないかと思います。
ご検討お願いします。全国的に飼料の輸入が減少しています。
水田収益力強化ビジョンによれば、資料用米の作付け目標について令和5年度は70haとしていますが、現状のままでよいか、お尋ねします。

●答弁(産業部長・加藤英之)
市内の水田活用については、現在3年感覚のブロックローテーションによる計画的な生産調整を実施しております。
飼料用米につきましても、生産調整の枠組みの中で、国や県の方針の他、需要や担い手の作業量などを考慮し、目標面積を70haとするものであります。
今後も、国や県の方針を考慮しながら、適正な目標設定を行ってまいります。

○牧一心
農林水産省は「国産飼料基盤に立脚した生産への転換」で飼料自給率を高めていくことを目標にしています。
本市の国産飼料生産の中長期計画はどのようになっていますか。

●答弁(産業部長・加藤英之)
本市は、飼料用米の他、稲ホールクロップサイレージ、牧草などの飼料用作物が生産されており、西尾市酪農肉牛近代化計画において、飼料生産の目標は96haとなっております。
今後も、飼料生産については、耕畜農家の要望を踏まえて、耕種農家やJA等関係機関との連携をしてまいります。

○牧一心
農業における人手不足解消と、新規就農者を募るためにも大府市が採用している農業ボランティア「健耕サポーター」の制度を西尾市でも検討してはいかがでしょうか。

●答弁(産業部長・加藤英之)
作目、時期によっては人手不足となる農作業があることから、農家の意向を聞き取り、農家ボランティアの制度について調査検討してまいります。

○牧一心
はじめは行政が窓口となることから手間がかかるように思います。
しかし、大府市の運営状況を伺うと、農家さんとボランティア希望者が1度マッチングすれば、直接やり取りをされることも多いとのこと。
最初の手間を除けばお金もかからないと思うのでご検討願いたい。
農家の高齢化に伴う負担の軽減と、生産性を高めていくことが求められています。
スマート農業の推進に対する市の考えはどのようかお尋ねします。

●答弁(産業部長・加藤英之)
本市のきゅうり及びイチゴ農家では、既に環境制御機械の導入など、スマート農業に取り組んでいる。
スマート農業への取組は、CO2ゼロエミッション化やSDGsに繋がる有効な取組であるため、国や県の補助メニューを積極的に取り入れ、推進していきたい。

○牧一心
産地パワーアップ事業としても、きゅうり及びイチゴ農家では一定の成果が上がっているように思えます。
この経験を踏まえて横展開の計画はありますか。

●答弁(産業部長・加藤英之)
現在、試験的にきゅうり農家などで実施されているスマート農業の事業成果が上がれば、他の品目でも展開できるよう、情報提供していきます。

○牧一心
成功事例が数値で出てくることで、若い世代にとっても農業を魅力的に捉えることができますので、データの公開をお願いします。
本市には活用されずに放置されている竹資源が豊富にあります。
竹の活用方法についてこれまでも研究されてきていると思われるが、竹林整備を進めながら有効活用はできませんか。

●答弁(産業部長・加藤英之)
本市の里山林の保全について、竹林整備は重要であると考えます。
また、昨今のSDGsへの取組として、竹を有効活用することを考える企業から注目されていることから、今後、竹林の整備や、活用方法など調査研究をしていきます。

○牧一心
本市のゴミのリサイクル率は15%前後で推移しており、県内順位では2019年度で54市中38位となっています。
水準が低いように思えますがどのように分析していますか。

●答弁(環境部長・鈴木雅博)
他市と比較してリサイクル率が低い原因については、現在、特定できていません。
リサイクル率の向上に対しては、家庭から排出される「ごみ」の中に含まれる、雑誌や容器包装などの資源として活用できるものの、分別の徹底が必要となります。
これには、市民の意識の向上など、時間が掛かるので、継続して周知を図るとともに、効果的な施策について、令和4年度に立ち上げる予定の「ごみ問題を考える市民会議」で検討していきたいと考えております。

○牧一心
生ごみの資源化を進めるために、分別収集についての本市でのお考えはどのようですか。

●答弁(環境部長・鈴木雅博)
本市では、毎年市内のゴミステーション5カ所で、可燃ごみ袋、合計50袋抽出して、組成分析を行っています。
平成30年度から令和2年度における生ごみの占める割合は、約33%でした。この結果、燃えるごみの中に含まれている生ごみの資源化を進めることは、ごみ減量の有効な手段であります。
しかし、分別収集を考える上では、一般の可燃ごみとは異なる収集ルートを確立する必要があるとともに、資源としての有効活用が図られるのか、また、費用対効果などにつきましても調査する必要があると考えております。

○牧一心
有効活用という点では産業部との連携が必要だと思います。33%は影響力としても大きいです。
くるみ会が生ごみの資源化に取組んでおり、成果が上がっていると思うので、民間事業者の事例も参考にしながら、より広い規模での実行の可能性の調査をお願いしたいです。雑紙の分別に力を入れているとのことですが、ごみ減量の観点から数値目標はどれほどでしょうか。

●答弁(環境部長。鈴木雅博)
ごみ減量の数値目標については、今年度に見直しを行う一般廃棄物処理基本計画において、紙類の分別率を向上することにより、基本計画の最終年度である、令和8年度までに、家庭系可燃ごみの2.6%の減量を目指すこととしています。

○牧一心
紙はパルプとしてリサイクルをするわけですけど、この数年注目されているのが使用済み紙おむつのパルプを回収するシステムがあります。
環境省によると子供用と介護用合わせて燃えるごみの5%程度の量があるとのことです。
紙おむつのイノベーションがない限りは後期高齢社会でさらに紙おむつの量は増えていくと想定されます。
そこで、使用済み紙おむつの再生利用を検討しませんか。

●答弁(環境部長・鈴木雅博)
使用済み紙おむつにつきましては、高齢化社会の進行に伴い量の増加が見込まれおり、一般廃棄物における割合も増加傾向にあるものと思います。
紙おむつをリサイクルすることにより、資源の有効活用、焼却炉の負担軽減につながるものと考えております。
今後、紙おむつのリサイクルの導入によるメリット・デメリットや効果的な回収方法などについて、実施している自治体の状況を研究してまいりたいと考えます。なお、資源化につきましては、多くの自治体で各種の取組みが行われてございます。
しかし、生ごみや紙おむつなどの取組みの全てを本市に適用することは難しいと判断しております。
費用対効果が見込まれる事案について、取捨選択が求められるものと考えております。

○牧一心
同じ子育て世代として、市長には共感していただけるのではないかと思いますが、紙おむつの量は燃えるごみの中でも重量のあるものだと思います。
市長のお考えを、お聞かせいただけないでしょうか。

●答弁(市長・中村健)
小さい子どもがいる家庭にいると、燃えるごみに占める紙おむつの量がばかにならないというのは実感があるかと思います。
それに加えて、今後、高齢化が進んでおむつを着用する高齢者が増えるだろうということですとか、CO2の削減にも寄与するということで、紙おむつをリサイクルすること自体は非常に、できればやりたいというふうに思っていて、個人的にいろいろ今勉強しているんですけれども、一番難しいのは出口のところでありまして、入口の分別で収集するというのはルール化すればいい話しなんですけれども、焼却せずに2次利用というか、再利用していくとき
に、そこのレールに乗せていくためにはどうすればいいかというところと、あとは多額の税金を投入せずに、それがビジネスとして成り立つための仕組みがうまくできれば何とかやっていきたいなというふうに思っていますけれども、なかなか実現のハードルが高そうなので、引き続き調査していきたいなというふうに考えております。

○牧一心
循環型社会の実現に向けて、石油系資材からの脱却がまず1つと、2つ目に輸入資材の依存からの脱却、そしてごみの減量、これらが合わさることで地域経済の活性化にもつながってくるのではないかと思います。
引き続き、自分でも研究して、提言できるところはしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

議題の2に移ります。「住民基本台帳におけるDV等支援措置の制度利用について」。
この支援措置とはDVや児童虐待等から被害者を保護するための制度です。
この被害者はこの申出によって、加害者が住民票の写しなどを市役所で取得することを防止するものです。
総務省によると、市区町村のミスで、DV被害者らの住所を加害者に漏らした事例が、この10年間で63件あったということです。
2012年には神奈川県逗子で情報漏洩が起きたあとに被害者が殺害された痛ましい事件もあります。
こういった、未然の対処でミスを起こさないよう、あらためて対応についてお尋ねいたします。
質問要旨1としまして、本市における支援措置の利用者数の推移はどのようかお尋ねします。

●答弁(市民部長・小林明子)
住民基本台帳事務における支援措置利用者は、申請者本人と世帯を同じくする親族等も同様に保護するため、それを含めた利用者数で申し上げます。
平成29年度56人、平成30年度56人、令和元年度57人、令和2年度50人、令和3年度は2月1日現在71人です。

○牧一心
利用者数が令和2年度50人、令和3年度2月1日時点で71人となっていますが、その増加理由は何でしょうか。

●答弁(市民部長・小林明子)
令和2年度と比較して、令和3年度は、支援措置申出者が22人から31人に、世帯を同じくする親族等が28人から40人になり、利用者数は合わせて21人の増加となりました。
各年度の支援措置利用者数は、住所の異動や期間満了による終了によって増減があります。
令和3年度については、西尾市に転入されると同時に支援措置を申出される方が7人あり、世帯を同じくする親族等も含めた利用者数が14人増えたことが増加の要因でございます。

○牧一心
支援措置申出書を提出する際に、支援措置対象者の住所の規制はありますか。

●答弁(市民部長・小林明子)
住民基本台帳における支援措置申出書の相談機関等の意見書に記入されていれば提出が可能であり、加害者から何キロ以上離れた所に住所を定めなくてはならないというような規制はございません。

○牧一心
支援措置の相談件数はどのようですか。

●答弁(子ども部長・榊原稔裕)
DV被害者からの支援措置の相談につきましては、家庭児童支援課で御対応いたしており、令和4年2月1日現在で今年度12件の相談がございました。
12件のうち10件につきましては、支援措置が行われており、1件は本人の判断で支援措置には至らず、1件は今後支援措置予定という状況でございます。

○牧一心
支援措置に至らなかったものと今後措置予定となっているものの理由や状況はどのようなものでしょうか。

●答弁(子ども部長・榊原稔裕)
支援措置に至らなかったケースは、DV被害者が住所変更手続きに伴い支援措置を希望されたものですが、住所変更の必要がなくなったため、措置が不要となったもので、措置予定となっているケースは、DV被害者が住所変更手続きをする際に、支援措置についても行っていく予定となっております。

○牧一心
加害者に変更住所の情報漏洩が起きないように、迅速な対応を求めます。質問要旨3としまして、支援措置の制度利用にあたり、希望をしても基準を満たさず制度が利用できないことはありますか。

●答弁(子ども部長・榊原稔裕)
支援措置を行うにあたっては、その必要性の確認が必要となりますが、DV被害者につきましては、主に家庭児童支援課において、生命または身体に危害を受けるおそれがあるか、加害者がその住所を探索する目的で、住民基本台帳の閲覧等を行うおそれがあるかの聞取り等を実施します。
この必要性の確認ができなければ、制度の利用をすることはできません。

○牧一心
必要性の確認を行う際の、基準やガイドラインはどのようですか。

●答弁(子ども部長・榊原稔裕)
支援措置につきましては、国が定める住民基本台帳事務処理要領に基づき事務を執行いたしておりますが、当該要領には、必要性の確認の詳細な基準は示されていません。したがいまして、DV被害者の保護を最優先するため、被害者の生命または身体に危害を受けるおそれ及び加害者がその住所を探索する目的で、住民基本台帳の閲覧等を行うおそれが少しでも確認できれば、その必要性を認めるものといたしております。

○牧一心
制度の利用希望者が支援措置を受けやすいような対応がなされているか。

●答弁(子ども部長・榊原稔裕)
家庭児童支援課においてDVの相談を受けた際には、相談者の希望に沿った対応に努めており、相談の中で必要に応じて支援措置につきましてもご案内している状況でありますので、支援措置の制度利用を受けやすい対応をしているものと考えております。

○牧一心
僕が聞いた事例によると、こういった方がいました。この支援措置の申出をするときに、担当者のヒアリングによって「申出をするのを辞めようかと思った」そうです。
というのも窓口の担当者から「本当に必要性があるのか?本当に命の危険を感じているのであれば遠くに引越したほうがいいのではないか」という質問に対して、その方は「私は支援措置をうける基準を満たしていないのだ」と考えました。
もしかしたらこの相談者はそのまま支援措置の申出を諦めていたかもしれません。
しかし、不幸中の幸いにもこの相談者は離婚調停中で、弁護士がついていました。
弁護士の後押しがあり、支援措置を利用できる運びとなりました。もし弁護士がいなければ、と思うと不安を感じます。
支援措置の申出の希望者の多くは精神的にも追い詰められている状況であると考えられますので、心に寄り添った対応をお願いします。

以上で一般質問を終わります。

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